8日目 山口県下関市元乃隅神社の魅力に迫る
旅が始まって8日目の朝、僕は初めてきちんとした布団の上で目覚めました。
あまりにも蒸し暑かった為、他人の家だろうとおかまいなしにパンツ一丁で寝てやりました。
今日は中島さんが最後に、下関1の観光スポットを案内してくれるらしいです。
「お邪魔しました。」
泊めて頂いた事に感謝を告げ、中島さんの家を後にしました。
外は相も変わらず猛暑です。
家から車で僅か20分程、連れて来て頂いたのは元乃隅神社(モトノスミ神社)と言う、パワースポットで有名な神社でした。
「すげー!すげー!」
僕は興奮して何度も叫びました。
無知な僕は本当に勢いで旅に出て、日本のどこにどんな観光地があるかなんて一切知りもしませんでした。
【竜宮の尻尾】と言われる紅色の鳥居の連なり、驚くほどに透き通ってる下関の海。
赤と青のコントラストが絶妙でした。
コバルトブルーの海はとても澄んでいて、崖の上からでも海中の珊瑚や魚が見下ろせました。
昔、沖縄旅行に行った時に入った海より遙かに綺麗でした。
中島さん曰く、沖縄の人も下関の海の綺麗さには驚くとの事です。
僕は、澄み切ったコバルトブルーの海を飽きるまで眺めました。
続いて竜宮の尻尾を通って辿り着いた場所がなんとも印象的な場所でした。
そこにあったのは、なんと高さ5メートルの賽銭箱でした!
元乃隅神社名物、高さ5メートルの賽銭箱。
地上から賽銭を投げ入れ、一発で入ったら縁起が良いと言われております。
こう言う遊び心大好きです!笑
子供達が必死になってチャレンジしている中、僕もチャレンジします。
一発で入れてやりました。
当然このドヤ顔です。
僕の後、稲川がチャレンジしていましたが、10分くらい投げ続けても一向に入る気配が無いので諦めさせました。
こんなエキサイティングで綺麗なパワースポットがあるなんて知りませんでした。
日本にはまだまだ僕の知らない素敵な場所がたくさんあるみたいです。
僕にとって一生忘れられない、思い出の地になりました。
お別れ
僕は差し伸べられた手を強く握り返しました。
「絶対また来ます。それまでお元気でいてください。」
「約束だぞ。待ってるからな。」
僕達は約束を交わし、去っていく車が見えなくなるまで手を振りました。
思わず涙ぐみました。
見ず知らずの僕達にこんなにもたくさんの愛情を注いでくれ、もてなしてくれ、善意以外の何物でも無い優しさをしっかりと受け取りました。
目まぐるしい都会で生活していたらこんな感情には出会えなかったでしょう。
これまで僕は損得ばかりを考えて、他人と接して来ました。
人からもらった優しさのバトンを繋ぎたい。
知らない誰かにでも、友達にでも、きちんと愛を持って接してあげよう。ちょっとクサいですけど僕は思わずそんな事を思いました。
鳥取県へ向かう
さあ、これからは鳥取県に向かいます。
仕事が始まるまであと5日です。
余裕を持って、鳥取県をこの旅の最終目的地に決めました。
まずはまたしてもウェルカムゲートがある美東SAエリアに向かう事にします。
少しの距離、ローカル線の旅です。
ネットで調べてもあまりにも情報が少なすぎたので、地元の観光庁で聞き込みをしたり、1車両の電車に乗ったり、無駄に広いバス停で休憩したり、田んぼ道をひたすら歩いたり、なんやかんや3時間程で美東SAに到着しました。
美東SAに到着するとまたしてもヒッチハイカーに遭遇しました。
チャーリーです。
イケメンです。
チャーリーは山梨県の公立高校で英語の先生をしている臨時教師で、日本語もペラペラでした。
クリスと言い、チャーリーと言い出会ったヒッチハイカーはどちらも外国人。
今海外でヒッチハイクが流行ってるのでしょうか?
チャーリーはカウチサーフィンで知り合った広島の友達に会いに行くとの事です。
もうヒッチハイクは5回目で随分と慣れている様子です。
常に死に物狂いで必死な僕達と比べて、随分と旅を楽しんでいるように見えました。
「さて、そろそろ動き出すか」とチャーリーは流暢な日本語で言うと、車を捕まえに出掛けました。
無論、次こそは負ける訳には行きません。
僕の中で、チャーリーVSキャベツのヒッチハイクどっちが先に車を見つけられるか対決の火蓋が静かに落とされました。
15分後。
完全にフラグが立っていたような気がします。
チャーリーとは同じ広島方面を目指していたので、優しいチャーリーは3人乗れるか運転手さんに確認までしてくれた見たいです。
残念ながら3人では定員オーバーと言う事で、チャーリーは颯爽と去って行きました。
僕はこの時気付きました。
『ヒッチハイクで一番大事なのは根気だ』と、いう事に。
何はともあれ根気強くヒッチハイクを続ける事にしましょう。
雨が降って来ました。
濡れてしまうのでSAの店内の入り口でヒッチハイクをして見たのですが、これが中々メンタルがやられます。
まるで僕は捨て犬のような目をしていたに違い無いでしょう。
8日目 Part.2話へ続く。