7日目 山口県下関市に向かう
車に乗せてくれたおじいちゃんは中島さんと言って、64歳にして現役の料理人の方でした。
中島さんに何処に住んでるかを聞くと、山口県の下関市に住んでると言いました。
話を聞くと下関は海の街で、角島大橋と言い、日本一絶景と言われている橋があるそうです。
僕達は鳥取を目指していましたが中島さんの話、そして何より「日本一の絶景」と言う言葉に興味をそそられました。
「何ですかそれ!めっちゃ行って見たいです!」
食い気味で僕は言いました。
「案内しよか。」
そう返答が返って来ました。
こうして僕達は鳥取に向かう道中で山口県の下関に立ち寄る事を決めました。
2時間程車を走らせ、山口県に到達すると海が見えて来ました。
中島さんはとても親切な方で家に向かう道中、たくさんのスポットを案内してくれました。



日本一絶景の橋、角島大橋がハンパない
そこから車を10分程走らせ、角島大橋に向かいます。
案内してくれたのは橋が一番綺麗に見えると言う、絶景スポットです。
僕達は思わず目を奪われました。
コバルトブルーの海に架かる前長1780mの橋は、沖縄の古宇利大橋に次ぎ日本で2番目の長さの橋です。
途中に浮かぶ小さな島は鳩島と言う島で、このロケーションを一層輝かせます。
紛れもなく日本で一番絶景な橋でした。
何だか絶景を見る事でようやく旅の醍醐味を果たせたような気がします笑
お次に案内してくれたのは角島近くの灯台。
ここがまたいい場所でした。
到着した頃には灯台の営業時間は終了しており、灯台に登る事は出来ませんでしたが、灯台を囲む角島海岸のロケーションが最高でした。
海に反射する太陽を見ていると何だか涙が溢れそうになります。
ここまで旅をして来てよかった。
全てが報われたようなそんな気がしました。
「そういえば、お前ら今日どうすんだ?飯とか泊まるとことか?」
車に戻ると中島さんがそう言いました。
これはもしや!
そう思った僕は白々しく言いました。
「いやー、野宿っすかねー・・笑」
一瞬の沈黙・・
「泊まってくか?」
「いいんですかー!?あざっすぅー!!」
僕は又しても白々しく驚くと歓喜しました笑
今までずっとこんな瞬間を待ち望んでいたのかもしれません。
まるでテレビの旅番組のような展開を。
都会の喧騒で生きる僕は息苦しい東京と言う街に飽き飽きしていました。
旅をする事、知らない誰かに出会う事、それを思い出に焼き付ける事。
こんな瞬間をずっと待ち望んでいたのかもしれません。
「まあ、何かの縁だな。大したおもてなしは出来ないけど泊まってけ。オレも1人で退屈だからな。」
「そう言えば、そろそろいい時間かもなー。」
家に向かう道中、中島さんは何かを思い出したように言いました。
「えっ、何がですか?」
僕は尋ねました。
「最後にもう一ついい所に連れてってやる。とっておきの場所に」
案内されたのは誰もいない海岸でした。
観光名所とは言えるような場所ではなく、地元の人しか知らないような
「ここが一番綺麗に見えるんだよ。何回も見てるからオレからしたらどうって事ないんだけどな。」
丁度夕日が沈む時間でした。
写真では伝わらないかもしれませんが、僕が今まで見た中で一番綺麗な太陽でした。
「本当に旅をして良かった。諦めないで良かった。」
僕はそんな思いを噛み締めながら少しずつ沈んでいく夕日をしばらく眺めていました。
お子さんが家を出て、奥さんが亡くなってから中島さんは大きなお家で1人で暮らしていました。
驚いた事に家は海の目の前です。
隣の家の子が二階の窓から釣竿を垂らしていました。
テンションがブチ上がります笑
この街に住んでいる人からすれば海は当たり前にあるもので、生活の一部なのでしょう。
都会との文化の違いを目の当たりにします。
お風呂場には当たり前のようにカニがいました笑
捕まえようとすると、家の中に去って行きました笑
風呂上がりの乾杯はこの旅始まって以来の乾杯です。
そして絶品の料理に舌鼓を打ちます!
隣の家の漁師さんが今朝釣って来てくれたと言う、このコットンイカがとんでもなく絶品で二度と忘れられません。
野菜もどの食材も自家栽培でとったものばかりで、どれも新鮮な味がしました。
僕にとって二度と忘れられない思い出の味となりました。
幸福な瞬間でした。
酔っ払って上機嫌になった中島さんはよく喋り、まるで僕達の事を都会からやって来た孫のように面倒を見てくれました。
僕もあまり得意ではないビールを何杯も飲みほし、下関の夜が更けて行きました。
7日目、山口県下関にて終了。
8日目へ続く。